ラージ記

   30代会社員。登山、バイク(W650)、クルマ(NA8C)、音楽、米国株投資のこと。

ANAL*HOLIC2(入院・手術の話)

退院から2週間が経った。まだ完治とは言えないけど、入院から手術、退院までの記憶が薄れないうちに、正直な気持ちを記録しておきたい。なるべく包み隠さず書きたいと思う。
 

前提

痔瘻(じろう)を患い、八王子市にある多摩肛門科病院に入院した。「痔瘻」って、なんかもう字面がコワいよな。見た瞬間「これはヤバい」って直感する。実際、痔界のキング的な地位にいるらしい。具体的にどんなアレなのかは各人で調べていただきたい。世にも恐ろしいことが書いてあるから。
 
あと、「多摩肛門科病院」って、めちゃめちゃダイレクトな名前だよな。わかりやすい。おれは「タマコー」って読んでるんだけど、結論から言えばこのタマコーを選んで正解で、あらゆる面で本当にお世話になりました。皆さんにもおすすめしたい。
 

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多摩肛門科病院外観。色使いがなんとなく肛門っぽい。
 

痛みランキング

一位:一回目の麻酔注射 
二位:二回目の術後~翌朝にかけて
三位:二回目の術後、初めてのウマルコ時
 
おれは計二回手術を受けている。初診察の際、患部に溜まった膿を出すための切開手術(これは入院前の話。日帰り)。そして入院しての痔瘻根治手術。治療に関する全てのことの中で最強に痛かったのは、切開手術の麻酔注射でした。正常位の体勢+足を固定された状態でおしりの患部付近に注射をされるんだけど、身長197センチ93キロで、オカンから「赤ちゃんの頃からめったに泣かない我慢強い子」と評される屈強なこのおれが、本気で泣き叫んだ。マジで。神経の束の、その奥の奥に容赦なく鋭い針を突き刺すって感じの、耐えがたい痛みだった。逆に、二回目の根治手術の麻酔は「脊椎に注射される」という心理的抵抗はともかく、痛み自体はそんなに強くなかった。いずれも、麻酔が効いてしまえば手術中の痛みは全くない。二回目の手術なんて、3人の看護婦さんと筋トレの話をしている間に終わってしまったくらいだった(看護婦さんが積極的に話を振ってくるのは、患者が意識を失ってないか確認する意味もあるんだと思う)。
 
二位について、その麻酔が切れた後~翌朝までの痛みと不快感は、今思い出すだけでもゾッとする。痛みを感じるようになってきた一方で、まだ体は思うように動かせないという状態のストレスはハンパなかった。具体的に言うと、体がちょお重く寝返りうつのも大仕事なことに加えて、麻酔の影響で全然おしっこが出せないのが辛い。「アラ?いままでどうやって放尿してたっけ?」ってなる。力の入れ方がわからない。しかも術後は絶対安静とのことで、トイレに行くことは許されず、ベッドの脇で「しびん」へのアレだから。そして繰り返しになるが手術直後はおしりが相当痛い。慣れない環境の暗い病室で、痛みで眠れず、ただ夜明けを待つ。そんな一夜のことを想像してみて欲しい。
 
三位について、おれはウマルコがこんなに恐るべき存在になる日が来るとは思っていなかった。物心ついた頃から、「ウマルコ=おもしろいもの」という認識で生きてきたんだけど、手術の後、このめちゃめちゃ痛い所からアイツが出てくるかと思うと、想像するだけで恐怖に震えてしまった。魔王やんけと。傷口パックリ開いてっけどマジで来んの?と。そして来た時の痛みたるや。ただ、日を追うごとに痛みは少なくなっていきます。
 

入院中に辛かったこと

傷が痛いとかそういうアレはもちろんそうなんだけど、ダントツで一番辛かったのは、同室のオッサンのイビキだった。爆撃レベルのイビキの持ち主の分際でぬけぬけと大部屋に入ってくる、その無神経さが許せなかった。「自分はイビキがうるさいから、大部屋では他の人に迷惑をかけてしまう。追加料金を払って個室に入ろう」って思え。気を配れ。家族もなんか言っとけ。痛くて眠れない中で、耳栓しても全然意味ないくらいの貫通力を持ったあのイビキは、まさに拷問だった(それでも一晩耐えた)。あまりにうるさいので翌朝看護婦さんに相談したら、オッサンは寝るときだけ他の部屋に追放されることになった。正義は勝つ。ただそのオッサン、起きている間は明るく気さくですごいイイ人だったんだよな。「明日退院?おめでとう🎉 」とか言ってくれたし。だから最後まで憎めない存在だった。おっさんの術後の経過はどうだろう?快方に向かっているだろうか?
 

入院中の心の支え

辛い入院生活にも、救いはある。一つはお見舞いに来てくれる人たち。どうしても塞ぎ込んでしまう中で、話し相手がいるというだけで随分と心が楽になる。何より、時間を作って遠くから来てくれるという、その心意気が嬉しいじゃないの。逆に、おれの知り合いやトゥイラー(ツイッターネイティヴ風の言い方)のフォロワーの分際で見舞いに来なかったおまえ、おまえのことは絶対に許したくないと思っている。
 
もう一つは、お風呂。月曜に入院し、木曜まで入浴禁止令が出ていた。この間は自分がひどく不潔でみじめな存在に思えて、本当に辛かった。その分、術後初めての入浴はおれ史上最高の入浴体験となった。タマコーのお風呂は窓が大きく、方角的にも日光がさんさんと入る向きに作ってある。あれは秋晴れの日の午後1時頃だったと思うが、日の光を全身に浴びながら湯船に浸かるのは最高の気分だった。意外にもお湯がしみて痛いということはなくて、むしろ血行が良くなることで痛みが和らいだ。タマコーには「入浴時間は着替えを含めて20分」という軍隊レベルの掟があるので、そうゆっくりもできないのが残念だったけど、 以後入浴の時間が毎日の楽しみとなった。 
 
最後は看護婦さん。ここの看護婦さんは、全員がそれぞれ戦国武将並みのモチベーションを持って働いている。ハンパねぇレベルでテキパキしているし、わからないことがあると的確に教えてくれるので安心できた。タマコーお医者さんは、たぶん痔についての達人みたいな人なんだけど、どの分野の達人もそうであるように、全く無駄がない。手術もちょおスムーズに済んだし。でも患者への説明についても無駄がなさ過ぎて、おれは結構不安になった。おれのおしりを0,5秒見て、「うん、大丈夫」程度のことしか言ってくれないからね。その分看護婦さんが色々と説明してくれるし、薬を塗ってくれたりするので、「看護婦さんに治してもらった」っていう気持ちが強い。
 

他人におしりを見せるということ

最初は、見ず知らずの他人におしりを見せることに抵抗があった。特に、いくら自分より随分お姉さんとはいえ、看護婦さんにおしりを見せるのがすごく恥ずかしかった。しかし今では、それはまったく無駄な悩みだったなと思う。恥ずかしがる必要なんかない。やべぇと思ったら迷わず医者に行った方がいい。モジモジしてる時間はマジで無駄だから。例えば百合漫画読んでて、「私たち女の子同士だから…」みたいな問題を長々と取り上げてたらイラつくじゃん。おれはそんなレベルの百合漫画が読みたいんじゃねぇよ、みたいな。その葛藤は確かにそう、ごもっともだが、その前提でさらに上の問題をアレしてくれやっていう。それと同じで、早々に「おしりを見せる」という前提に舵を切って、サクッと次のステージに行くのが自分のためになる。おれはもう何の躊躇もなく脱げる。真面目な話ね。
 

治療費

おれが幸運だったのは、入院施設のある専門の病院が家の近くにあったことと、はじめからその病院にかかったことだと思う。痔関連のブログを読んでいると、医師の判断が甘くて病状が長引いたりとか、いくつもの病院にかかったりとか、保険が使えず治療が高額になったとか、いろんなパターンがあるみたいだ。おれはラッキーだ。ちなみに、おれの入院~退院までの費用は、入院期間1週間、治療費に食事とか薬とか全て込みで¥58,000くらいだった。安いと思う。
 
以上レポっす。チラシの裏すんません。