ラージ記

   30代会社員。登山、バイク(W650)、クルマ(NA8C)、音楽、米国株投資のこと。

最近の山

11/20 白木峰

土日と祝日、有休を組み合わせて5連休とし実家に帰った。

 

白木峰は前から気になっていたが、富山県側からのルートがここ数年通行止めになっており、岐阜県側からはアクセスが悪いということで、なんとなく後回しにしていた山だった。

 

今回岐阜県側から登った。富山県側のルートは変わらず通行不可だそうで、そのせいもあってか山は貸し切り状態だった。その代わり熊の痕跡は濃厚、登山道にはフンが無数に残されていた。

 

熊のフンは小さな木の実の集合体で、厳しい自然からなんとかしてエネルギーを摂取しようという健気さの結晶のように思えた。大して栄養のない実を必死に集め、頑張って生きている。そりゃあちょっと良い匂いがすれば引き寄せられてしまうのも当然のことだろう。おれは大いに同情して、ザックに入ったオニギリの一つでも置いていきたい気持ちになった(やらんけど)。

 

こんなに健気な暮らしをしているのに、必要以上に恐れられて、さも「人を見ると襲い掛かってくる獰猛な生き物」みたいな扱いをされて、熊ってなんてかわいそうなんだろう。そりゃまぁ危険性がないとは言えないが、遭遇率含めた総合的な危険度で言えばスズメバチとかの方が全然上だと思うのだが…。

 

 

 

白木峰は1600mに満たない山だけど、富山と岐阜の県境に位置し日本海からの風と雪をモロに受けるため、例えば同じ標高の関東の山とは趣が大きく異なる。1500mから上には高木が育たず見晴らしが良い。池塘があるのも珍しい。

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天気が良ければ、山頂から北アルプス北部の山々が見られるはずだが、この日は雲が多くそれは叶わなかった。全然えぇけど。

 

約1ヶ月ぶりの登山ということもあって楽しかった。

 

おれが東京に戻った直後に実家近辺に雪が降ったそうで、白木峰も今は雪の中だろう。熊たちの無事を祈らずにはいられない。

 

最近の山

9/20 本社ヶ丸

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晴れ予報の祝日ということで山には大勢の人が集まっており、残念ながらあまり楽しめなかった。自分の中での「楽しい山の条件」みたいなものが明確になったのは良かったと思う。

 

① 晴れ、人少ない

② 雨、人少ない

<圧倒的かつ絶望的な壁>

③ 晴れ、人多い

④ 雨、人多い

 

あと、「登山予定の3日以内に筋トレすると疲れが残って山を楽しめなくなる」と以前からの経験でわかっていたはずなのに、今回愚かにもそのマントラを破ったため、案の定ダメダメな状態での登山となった。南無阿弥陀仏

 

本格的な冬が来たら再挑戦したい。

 

10/15~16 甲斐駒ヶ岳

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自分の場合、1回登っただけでは「どんな山だったか」を理解できないというか、山の記憶を上手く定着させられないので、気に入った山には2回3回と登りたくなる。甲斐駒は今年の6月に登っているが早くも記憶が曖昧になってきており(チンパン脳)、もう一度同じ黒戸尾根から登ってみたくなった。

今回、自分の登山史上最高の天気に恵まれた。前回は雲の中だった八ヶ岳奥秩父山塊も見ることができたし、遠く北アルプスは槍穂高の岩肌までしっかりと眺めることができた。鳳凰三山仙丈ケ岳北岳間ノ岳といった南アルプスの山々は眼前に迫ってくるような勢いで、こんな天気の日は1年で何日あるだろうかと考えた。また、翌朝の雲海も見事だった。

 

仕事をほっぽり出すように強引に休みを取って出てきたけど、その甲斐があった(甲斐駒ヶ岳だけに)。

 

軽量化の輪廻

今回は装備の実験をしたいという狙いもあった。

 

ツイッターには↑のように書いているけど、白状してしまうと、おれは軽量化の輪廻から脱したいのだ。次々に高性能で軽量な山道具が発売されるけど、それに刺激されてどんどん新しい物が欲しくなる自分が嫌になってきた。「アウトドアマンを気取ってっけど資本主義というシステムに思いっきり取り込まれてますやん」みたいな。

 

…うまく説明できないけど、何というか、最新の物じゃなくても身体の延長と思えるくらいに使い込んで、真の意味で理解した道具を使いたい的な思いがずっとあった。そのためには軽量化の輪廻、重量の呪縛から逃れたい。逃れる必要があると考えていた。

 

そこまで軽量化を意識しない装備を担いで黒戸尾根を上ることができれば、深田久弥をして「日本アルプスでいちばん辛い登り」と言わしめたルートであるから、一応の体力はあるとみていいだろう。「軽量化せよ」「軽量装備=善」という呪縛から少し自由になれるのではないか。

 

結論としては、Twitterにある通り、キツかったけどちゃんと登れたのは自信になったし、道具に拘泥するよりトレーニングの方が大事だなと感じられたのは良かったと思う。たかだか14㎏の話なのでアレだけど、自分にとっては価値のある山行になった。

 

おわり

最近の山

8/29 滝子山

日帰り登山の場合、帰路の渋滞を避けるために公共交通機関を使うことが多い。でもバス移動はちょっと面倒。滝子山笹子駅から徒歩でアクセス可能ということで、以前から気になる山だった。帰りは笹子駅に戻るのも良いが、今回は初狩駅まで下るルートを選択。

 

自分にとって日帰り登山はテント泊のためのトレーニングという意味合いが強いため、今回はテント泊装備+多めの水(4リットル)を担いだ。

 

雨こそ降らなかったものの、一日通して展望は皆無。それでも滝子山はなかなか魅力のある山だとわかった。というのも、今回は沢沿いを歩くルートを選択したので、所々で現れる滝や泳ぐ岩魚を眺めながら歩くことができ全く飽きることがなかったからだ。

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曇り模様で登山者の数はさほど多くなかけど、沢登りのグループを見かけたし、林道をMTBで走る人もいて、色々な楽しみ方をされている山ということがわかった。標高こそ1600m程度だが、初狩駅から見る滝子山の山容は立派で、機会があればまた登りたいと感じた。

 

9/10~11 日向山、櫛形山

日向山は甲斐駒ヶ岳山行の際に知り、山頂近くに白砂の展望台があるということで気になっていた。櫛形山南アルプスの展望が良いらしい。

 

どちらも日帰りで十分なボリュームの山。ならばトレーニングも兼ねて1日で登ってしまおうと考えた。計画は下記の通りで、概ね計画通り行動することができた。

 

<初日>

① 日向山(尾白川渓谷からピストン)

② 車移動(1時間くらい)

櫛形山、時間があれば隣の裸山も登る(県民の森駐車場から)

④ ほこら小屋でテント泊

<二日目>

① 下山、帰宅

 

須玉ICから尾白川渓谷へ向かう道中、甲斐駒ヶ岳を綺麗に眺める事ができた。甲斐駒ヶ岳は本当に立派な山で、麓からはピラミッド状の岩壁が覆い被さってくるように見える。

 

北アルプス笠ヶ岳は美しい山で、他県との境界にない全くの岐阜県の山ということで飛騨出身の自分としては特に思い入れのある山だけど、美しさという点では甲斐駒ヶ岳も笠に勝るとも劣らない位に好きな山だ。

 

金曜日にも関わらず日向山は人が多く、その多くは地元の方のようだった。適度に登りごたえがあり、山頂付近からの景色のや雰囲気が良いのが地元民に愛される理由だろう。

 

反対に櫛形山および裸山には人の気配がなかった。その代わり鹿の気配がかなり濃厚で、特にほこら小屋テント場辺りは鹿のたまり場になっているようだった。夜になるとテントの周囲から鳴き声がひっきりなしに聞こえてきた。鹿の鳴き声は女性の悲鳴のようにも、オッサンの叫び声のようにも聞こえる。少々びっくりする物なので、耳栓がとても役に立った。

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ほこら小屋はかなり綺麗な無人避難小屋で、清掃が隅々まで行き届いている(地元ボランティアの方が整備してくださっているとのこと)。トイレもあるし水場もすぐそこなので非常にありがたい。小屋内には交換ノートが置いてあり、ここを訪れた人が思い思いにメッセージを綴っていた。

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その中に「夜叉神峠から歩いてきました。夜叉神峠と櫛形山は繋がっています。機会があればぜひ歩いてみてください」というメッセージがあった。自分は鳳凰三山に登った時に夜叉神峠を起点にしたが、櫛形山との繋がりなど考えてもみなかった。これに限らず、登る山同士の繋がりを考えるということ自体が滅多になかった。多くが一泊の山行で、無意識の内にそれぞれの山を勝手に分断し、個別の物として認識していたのだ。自分がいかにヒヨッコの頭デッカチな登山者かと思えてきて、恥ずかしくなった。

 

ノートのメッセージから気づきを貰うことができ、これだけでも登ってきた甲斐があった。

 

おわり

最近の山

7/22 猪臥山

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頂上直下までクルマで行ける俺たちの山。だけど今回は、殊勝にも登山道を使って自分の足で山頂まで行ってみた。

 

大した登りでもないのに妙に疲れた。暑さでバテたのと、藪を抜けるのに体力を使ったからだろう。

 

UL系オシャレハイカー達、夏はみんな短パン履いてっけど、泥臭い山に行くなら夏でも、いや夏だからこそ長袖長ズボンは欠かせない。もしここで短パンだったら、草木や笹の葉で下半身ズタズタになってたと思う。

 7/23 木地屋渓谷

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沢沿いに林道が走っているので、沢を歩いてみて「これ以上無理」となればさっさとエスケープできるのが気楽で良い。

 

実は沢登りそのものよりもテンカラ釣りに興味があり、ここなんていかにも岩魚の気配がぷんぷんなので、次は魚目当てで来てみたいと思う。

 

沢の水で濡れた手ぬぐいをクルマの中に置き忘れてしまって、後日信じられないレベルの悪臭を放っていた。これからは気をつけようと思う。ガチで。

 8/20〜21 権現岳〜西岳〜編笠山

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権現岳編笠山は2回目。最近忙しくて新しい山に登るための情報収集ができておらず、ならば過去行ったことのあるルート+αくらいの山に行っとこうと考えた時、このルートはなかなか良かった記憶があったため再訪。

 

天気はイマイチだったけど晴れる瞬間もあり、なかなか良い山になったと思う。全体的に人が少なくて、三座とも山頂には誰もおらず、思うがままにゆっくりできたのも良い思い出になった。

 

八ヶ岳はアクセスが良いし、豊かな緑とごつごつしたアルペン的な景色があり、滝や池もあれば生き物も豊かで、規模こそ大きくないものの色々な要素が詰まっている良い山だ。人が多くて嫌になることもあるけど、タイミングとルートさえ選べば静かな山行も可能で(というか一部が極端に混み過ぎなんだと思う)、下山したそばから次はどこに行こうかと楽しみになる。

 

そんな最高の山なんだけど、今回ヤマビルに噛まれてしまって、ほんのちょっと八ヶ岳が嫌いになってしまった。マジで血が止まらない。「ヤマビルに食われると血が止まらないよ」とは聞いていたけど、まさかこれほどまでに血が出続けるとは……。

 

プラスに考えれば、これを機に対ヤマビルの知識を得たことでまた少し強くなったわけだから全然いいんやけど。

 

おわり

最近の山

6/13 高川山~むすび山

おれは生きとし生ける物の中で犬が一番好きなんだけど、高川山は犬の山である。ツイートにある通り、ここには昔ビッキーという名の犬が棲み着いていたらしい。首輪をしていたことから考えると元々飼い犬であったことは間違いないが、決して人に懐かず一定の距離を保ち、しかし吠えたり危害を加えるようなこともなく、極めて大人しい犬だったという。そんなビッキーは今から11年前に死んでしまって、今は麓のお寺にお墓が建てられている。

 

そんなビッキーに思いを馳せながらの登山となった。

 

果たしてビッキーの一生は幸福だったのだろうか?

 

山としてはあっという間に登れてしまう気軽なものだけど、隣のむすび山まで足を延ばせば、それなりに歩き応えのあるコースとなる。このコースの良い所は移動が電車だけで完結する点で、初狩駅から登り始めて大月駅からすぐの場所に下山できる。大月駅近くのコンビニで買ったチョコモナカジャンボを食べるなどしながら楽しく帰路についた。

 

6/25~26 鳳凰三山(夜叉神峠から薬師ヶ岳、観音ヶ岳、地蔵ヶ岳)

地蔵岳にあるオベリスクと呼ばれる岩の塔、これは中央道を走っているとよく見える、まさに鳥の嘴のような尖塔である。前々から気になる山だったけど、先日の甲斐駒から綺麗に見えて、「次はあそこに行ってみよう」と思っていた。

 

不安定な気候の中での山行となり、雨だけでなく雹まで降ってくる始末で、そんな気候のしかも平日にわざわざ山に行く人は多くなく、山頂を独占できたのも良かった。また、オベリスクは予想していたより遥かに巨大で驚いた。

1日目に3座を登り切り2日目は下山するのみという行程だったんだけど、2日目の南御室小屋(小屋の湧き水が超絶ウマい)からの岐路、縦走路を少し外れて辻山というピークに向かってみると、そこは南アルプスの大展望台であった。天気は回復しており、日の出直後の澄んだ空気の中、しばらく景色を楽しむことができたのは僥倖と言う他ない。道中の「甲斐ある寄り道20分 辻山」という看板を見かけて気まぐれで辻山に足を運んだわけだけど、これはありがたい看板だった。

 

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以前から甲斐駒ヶ岳鳳凰三山には行きたいと思っていて、この6月はその両方に登れたのでなかなか良かったと思う。次はどこに行こうかしら。

 

●装備についての所感

・テントに関して、自分はシングルウォール派だと確信。何回もシングルとダブルを使ってみて、ようやく結論が出た。「できるだけ歩いて日が暮れたらサッサと寝る」というスタイルが好きなので、自分にとってはシングルウォールの方が手間がなくて良い。「ダブルウォールでも結露する時はする」「悪天候時は前室に物を置くとずぶ濡れになるので結局居室に入れてしまう」「同じく悪天候時はダブルウォールだろうが居室内で煮炊きする事になる」等の経験を踏まえて、ここに自分はシングルウォール派だと宣言させていただきやす。

・ストックは1本でいい説浮上。今までストックは2本で使う物として完全に思考停止していたけど、1本あれば充分じゃないのか…?考えてみると、伊能忠敬とか播隆上人の銅像とか絵画って絶対に杖1本だけ持ってるお姿やんか。2本ではないと。そこにミソがある。ような気がする。

 ・山の雑誌を読むと「テントの中に紐を通して、濡れた物を干せるようにする」みたいなTipsが紹介されることがあるけど、何回試してもマトモに乾いた試しがない。真夏でもだ。このやり方で物が乾くとは到底思えない。ガチで乾かしたかったら外に干すしかない。メガネなど踏みつぶしたらマズい物を吊るしておくのはアリだと思う。同様に「ザックのメッシュポケットに濡れた物を入れておいて歩きながら乾かす」みたいなのも嘘。灼熱の砂漠でもない限り、メッシュだろうがなんだろうが濡れた物を丸めて入れたって絶対に乾かない。乾かしたかったらちゃんと広げてバサバサやってから、乾くまでお茶でも飲んで待っておくのが良い。

最近の山

5/30 高尾北稜(高尾駅~堂所山 往復)

トレラン風の日帰り登山。後述の黒戸尾根のための訓練。家から近い点、小さなピークが連続し精神的に鍛えられる点が良い。

 

自分にとって山を走るのは登山のための訓練といった意味合いが強く、それ自体が心躍る楽しみというわけではない。それでも、歩く事とは違うスピード感を持って移動できるのは新鮮。高校の登山部だろうか、若者達が大きなザックを背負って苦しそうに歩いていた。おれも山岳部にでも入っていればまた違った人生だったかも、などと考えました。

 

6/5~6 甲斐駒ヶ岳(黒戸尾根 往復)

「長くてしんどい」と評判の黒戸尾根。確かに長かったけど、思っていたよりスムーズに歩けた。『日本百名山』にも登頂の苦労が記されているが、執筆当時から登山道の整備が劇的に進んだのは間違いなく、梯子や鎖は丁寧かつ確実に取り付けられているため、無雪期であれば恐怖を感じるような場所はさほど多くない。

 

登山者と同じかもしかしたらそれ以上の割合でトレイルランを楽しむ人がいたし、走らないけれども日帰りで頑張る人、自分のようにテントを担いで登る人も多く(この日のテント場は満員御礼とのこと)、皆思い思いのスタイルで山を楽しんでいた。山が賑わうのも登山道の整備が進んだからこそだと思うし、自分のように何の登攀技術がない者でも山頂に立てるのは、七丈小屋の方々をはじめ関係者のご尽力のお陰に他ならず、頭が下がる。

 

個人的に今年は雨の山行が多くて、今回も曇り予報で天候(展望)に期待はしていなかったけど、山頂に立つと富士山はもとより北岳間ノ岳仙丈ケ岳鳳凰三山等といった南アルプスの山々から、まだまだ雪の残る北アルプスまで眺めることができた(八ヶ岳方面は雲の中…)。

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飛騨地方出身の自分にとって「地元の山」と言える乗鞍岳を目にすると、しばらく帰省できてない故郷に思いを馳せずにはいられなかった。また、ハイマツの緑と白い雲のコントラスト、鋭い岩峰と湧き立つ雲の対比が美しく、まさに超一級の景観だった。松濤明が穂高で眺めたという雲は、もしかしたらこんな雲ではなかったか。

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途中ライチョウが飛び立つ姿も見られたし、何より安全に帰ってくることができて、総合的に良い山だったと思う。

 

●装備についての反省

以前「あんまり軽量化にこだわらねぇ」的な記事を書いたけど、今回はルート的に厳しそうだったので快適性より軽量化を重視して装備を選んだ。結果的にどれも過不足なく機能し、概ね成功だったと思う。

 

<良かった点>

・幅90㎝のシングルウォールテント(プロモンテ VB-10)。最近は快適性を重視して幅広で結露の少ないトレックライズを持ち出すことが多かったけど、「軽量コンパクト」「設営/撤収の簡便性」など、シングルウォールの利点を再確認することができた。幅は90㎝あれば十分だし、前室なんていらなかったんや。フライシートがない分帰宅してからのメンテナンスも簡単。ちなみにテント自体の作りの丁寧さは「プロモンテ>>>アライ」だと思う。

モンベルで投げ売りされていた半シュラを初投入(ダウンハガー ハーフレングス♯3)。何しろ軽くて仕舞寸が小さいのが良い。ジッパーがないと逆に出入りがしやすいし、ストレッチが利いて寝心地が良かった。10時間近く爆睡。

・前回の蓼科山・北横岳の後、スマホをiPhone12に変更。これまでのスマホに比べてカメラ機能が大幅に良くなった。RX100と遜色のない写真が撮れる。

 

<ダメだった点>

・長年使ったプラティパスの水筒が破裂、水漏れ。入山前に気づけたこと、予備の水筒を持っていた事が幸いして大事には至らなかったものの、この手の水筒は消耗品なので定期的に入れ替えないとダメだと痛感した。

・「棒ラーメン+尾西のごはん」という軽量化重視の献立にするも、1泊2日という短期山行に関わらず速攻で飽きが襲ってきた。重量よりウマさ重視でメニューを考えるべき。

 

おわり

軽量化とザックの話

「ぜつえんアウトドア」さんの記事が素晴らしかった。

www.zetuenlife.com

 

自分の場合、山を始めた当初が一番軽量化に熱心で、経験を重ねるごとに荷物の重さは増してきている。理由はいくつかあるけど、「歩行時の軽快感」より「旅全体における総合的な快適性」を上げた方が、トータルで満足度が高いと気づいたってのが大きい。

 

歩くことは登山の一側面に過ぎない。山の中では歩くこと以外にもやらなければいけないことがたくさんある。軽さと歩く事だけにフォーカスするのではなく、入山から下山までの快適性を総合的に考えた時に、最適解はどこになるのか?という視点が必要だと思う。

 

また、自分は山にいる間、できるだけ他人の世話にならず自分で旅を完結させたいと思っている。多少の雨でも山に行きたいし、コンディションが悪くなっても可能な限り小屋にエスケープすることなくテントで夜を明かして下山したい。そうなると軽量なツェルトやフロアレスシェルターじゃなくて、多少重くとも堅牢なドーム型のテントの方が「悪天候への耐性」という面で都合が良い。もちろんドーム型のテントでもダメな時はダメなんだけど、可能な限り環境適応力の閾値を上げておきたい。

 

そもそも登山家が軽量化に苦心するのは、目的の山行を成功させるための手段として、軽くなければ危ういから、軽量化することで成功率を上げられるからそうするのであって、自分のように一般登山道を歩いて、頑張ってもせいぜい10時間までの行動で、幕営指定地に寝起きするのであれば、クライマーや高所登山家のような極めてシビアな軽量化は必要ないと思っている。

 

とはいえ、荷物が軽いことはリスク軽減に繋がる。同じ機能を持つ道具なら重いより軽い方が良いに決まっている。自分がやる山全体を俯瞰しながら、自分にとってバランスが良いと思う装備を見つけていくのが重要なんじゃないだろうか。

 

以下、おれが愛用するちょっと重めのザックについて。

 

グレゴリー バルトロ65

登山を始めた当初、35ℓ程度のザックでテント泊を行っていた。シンプルで小型軽量なザックこそ正義じゃいと。しかし経験を重ねる中で「機能充実、しかしデカくて重いザック」にもメリットがあると感じるようになってきた。

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良いところ① 充実の便利機能

使いやすい所にポケットがついていたり、ザックを背負ったままボトルが取り出せたり、サブザックが内蔵されていたりと、機能が非常に充実している。これらの機能に頼ることで「自分で判断しなければいけない事柄」が減っていく。行動中に「A」という小さな悩み事が出てきた時に、それに対応する「A´」という便利機能が予め用意されている。

 

登山は判断ゲーである。どの山に何月何日に登るのかというマクロ的な意味でもそうだし、雨がパラついてきたけどカッパを着るか着ないか、ザックを降ろすか降ろさないかといったミクロ的な意味でも判断の連続である。そして、判断を繰り返すことで体力・精神力は削られていく。

 

装備の便利機能に頼ることで、小さな判断事項をパスすることができるというのは大きなメリットだと思う。玄人がシンプルな装備を好むのは、判断すべき事象とその解を自分の中で網羅的にデータベース化できていて、ルーチンとして適切に処理できるからだろう。要するに装備に頼る必要がない。自分のような初心者は、装備に頼れる所は頼って、もっと大事な、例えば「目の前の難路をどのように通過すれば良いか」といった安全に直結するような判断のために力を温存しておきたい。そのためなら多少重くてもOKと考えるようになった。

 

ごちゃごちゃ語ってっけど、要するに「何も考えずに便利に使える」ということ。

 

良い所② 負荷が掛かるのは脚だけ

ザック単体で2㎏以上ある。ウルトラライト派の人からすれば考えられない重さだろう。しかしバルトロは背負い心地に優れ、肩/背中/腰への負担が極めて少ない。負荷が掛かるのはほぼ脚だけだから、普段のトレーニングで下半身を重点的に鍛えれば、山行自体が快適になる。サポートの弱いザックは鍛えようのない個所が痛くなってきたりするもので、そうなると苦痛に耐える他ない。補強すべき個所が明確になるのはありがたい機能のひとつだと思う。

 

ウルトラライト派の人を批判したいわけでは全くないのだけど、例えば「荷物が重くて大変だった」という経験をした時に、その解決策を荷物の軽量化だけに求めるのではなくて、「どういうトレーニングをすれば楽になるか」「どこを鍛えれば今より強くなるか」についても考えて並行して取り組めば、軽量化との相乗効果で次の登山がめちゃめちゃ進歩するし、準備の過程もより楽しくなると思う。

 

しかし物欲は続く

…しかしながらカッコいい軽量ザックへの物欲も常に持ち合わせていて、最近だとハイパーライトマウンテンギアっていうのが良いなと思っている(高くて買えないケド…)。

 

道具集めも登山の楽しみの一つだ。